高い評価を誇る『Alan Wake』シリーズのファンで、名祖たるかの作家を霧の中にいざない、彼がホラージャンルを代表する各キャラクターと遭遇しながらも、生き延びようと戦う姿が見たいと常々思っていた『Dead by Daylight』チーム。「光の闘士」の登場によって、暗闇に一体どんな変化がもたらされることになるのだろうか。
我らがクリエイティブ ディレクターDave Richardと、レメディー社のクリエイティブディレクターSam Lake氏、プリンシパル ライターClay Murphy氏、プリンシパル キャラクター アーティストJohn Crossland氏を迎え、あのベストセラー作家をいかにして霧の中にいざなったのかを聞いてみた。
Dave Richardがアラン・ウェイクに出会ったのは、もうずいぶん前の話で、『Dead by Daylight』開発中の頃にまで遡る。「開発初期の頃は複数のホラータイトルを手がけていて、それが最終的に『Dead by Daylight』という形になりました」とRichardは語る。「『Alan Wake』はサバイバルホラーにおいて実に興味深い試みだったし、あの独特の雰囲気と語り口は私たちの想像力に大きな刺激を与えました。それから『Alan Wake』は、私たちにインスピレーションを与えてくれる名作として位置づけられるようになったのです」
「『Alan Wake』と『Dead by Daylight』には多くの共通点があるので、今回のコラボも必然だったと思っています」と『Alan Wake』のプリンシパル ライターであるClay Murphy氏は言う。「表面的な要素だけでも、邪悪な闇の存在から逃れるために光を使うという共通項がありますが、両者はいずれもホラーの物語に閉じ込められるゲームで、終わりのないループの中で戦い続け、闇に立ち向かうために他者と協力するという、より大きなテーマも共有しています。二つのゲームの相性は錆びたフックと、恐怖におののく生存者のようにぴったりです!」
光の闘士
「アラン・ウェイクといえば懐中電灯ですよね」Dave Richardが二つのゲームにおける重要な道具に言及する。「彼が戦闘中に、懐中電灯を防御と攻撃の両方の手段として用いるのがすごく面白いんです。『Dead by Daylight』の生存者たちも同じことをしていますし、中でもアランは『光の闘士』です。パークのアイデアをチームで出し合った時も、懐中電灯にフォーカスしたものはすぐに出ましたね」
「デザイナーに検討してもらうためのテーマをリストにして渡すと、必要以上の大量のパークをつくってくれるんです」とRichardは語る。「チャプタ ーに取りかかる頃には、8~10個だったアラン・ウェイクのパークリストが、その後自然と――例えばデザイナーを交えた円卓会議を通じて、私たちのお気に入りのものに絞り込まれていきます。パークとは例えば、私たちがやってみたい面白いアクションだったり、ゲームプレイにおいて未だ開拓しきれていない領域を象徴していたりします」
パークは様々な形で存在し、その規模もまちまちだ。メタゲームに貢献するものもあれば、ゲームの流れや中核となる仕組みに初心者を慣れさせるためのものもある。パークのコンセプトを固める際には、全てのプレイヤーのことを考えていると語るRichardは、パークの設計とリリースまでの工程についてさらに詳しく語ってくれた。
「私たちの間には一応ざっくりとしたルールがあって、一つは新規プレイヤーを意識したパークにすること、もう一つは面白さを優先した少しクレイジーなもの、そしてあと一つは競争力を持ったものにしようと決めています。たくさんのテストプレイを経て、10個が最終的に3個に減るまでパークを進化させていきます。その後、最後まで残った3つに磨きをかけてPTBに進み、それからさらに最終仕上げを行いリリースとなります」
アランが特徴的な外見と性格をしていること、またイルカ・ヴィリとマシュー・ポレッタという二人の名優によって命を吹き込まれたキャラクターであることから、『Dead by Daylight』の世界でもその存在が忠実に再現されることが重視された。「すでに承認されたアセットをこちらから提供できたことで、確固たる土台の上にキャラクターをつくっていけたのではないかと思います」と『Alan Wake』のプリンシパル キャラクター アーティストのCrossland氏が明かす。「そこに『Dead by Daylight』チームのスタイルが加わり、アランを浮かせることなく、彼らの世界に溶け込ませることに成功したのです」
闇の美学
アラン・ウェイクは伝説のホラーキャラクターたちに囲まれてなお、その存在感を示してみせたばかりか、自身にまつわる伝承やこれまでにたどった刺激的な旅路によって、『Dead by Daylight』の既存の物語にもよく馴染んでいる。
「コラボの初期段階からBehaviour Interactiveには驚かされっぱなしでした」とSam Lake氏は振り返る。「彼らは伝承とキャラクターづくりに対して常に真剣で、アラン・ウェイクと私たちが生み出した超常的な物語を本気で理解しようとしていることが伝わってきました。そしてこれは、私たちにとっても大事なことでした。そうしてやがて、二つのゲームで描かれている世界の設定と物語の間に、高い互換性を見いだすに至ったのです。
「ダークプレイスにいることから、アランもまた時間という概念の外にいる存在なんですよ」とDave Richardは語る。「これは私たちのゲームにおいても繰り返し語られている内容です。一度エンティティの世界に足を踏み入れると、異なる時代の人物とも出会えます。飲み込まれた順番などは一切関係ありません。エンティティは時間や空間という概念を超えた存在ですから」
「ダークプレイスに囚われているアラン・ウェイクに出会えたとしても、このゲームの世界観的になんの矛盾もないのです」とRichardは指摘する。「エンティティの領域に囚われると永遠とも思える長い時間が経過したように感じますが、実際にア ランの世界でどれくらいの時間が経ったのかを正確に把握する術はないわけですから。これは両方の世界における謎なので、二つのゲームの公式の出来事としても差し支えありません」
「『Alan Wake』は物語が全てなので、両チームにとって二つの話を結びつける方法を探し当てることは重要な作業でした」とレメディー社のClay Murphy氏は言う。「『Dead by Daylight』のライターたちと一緒に仕事ができたことで、大変興味深い方法でもって、二つのフランチャイズを互いの領域に引き込める物語が誕生したと考えています。私たちとしても、心の底から楽しめるコラボでしたよ!」
またレメディー社の各氏が、それぞれの霧の中での体験を語ってくれたことも同じくらい楽しい一時だった。「個人的には生存者としてプレイするほうが好きですね」とJohn Crossland氏が明かす。「アランがトラッパーとどう渡り合えるのかが楽しみです。トラッパーに対して、なかなか有効なパークセットを持っていると思うんですよ」
ちなみに、『Alan Wake』の世界でもやっていけそうな『Dead by Daylight』のキャラクターについて訊いてみたところ、次のような答えが返ってきた。「アンナ――ハントレスならブライトフォールズにぴったりでしょうね」とClay Murphy氏。「動物を象った仮面をつけていて、人に向かって斧を投げてくるでしょう。世界観にすっと馴染むと思いますよ!」