吟遊詩人の伝承
吟遊詩人の生きがいは、敵に対する勝利を祝うことにある。彼らにとって悪のない世界は、新しい歌が生まれない世界だった。そこでエストゥリー・ヤザールは同じく吟遊詩人のベアマール・ウラズとともに、アーチリッチ、ヴェクナの牙城である腐った塔を目指して出発した。彼らは塔に近づくにつれ、邪悪な魔法の存在をより一層強く感じるようになった。迫りくるヴェクナとの戦いに身構えていた彼らだったが、驚いたことに腐った塔はもぬけの殻だった。見つけた巻物に書かれた呪文を読むと、奇妙な黒い霧が彼らを取り囲み、次の瞬間、彼らの姿はもうそこになかった。