エース・ヴィスコンティの伝承
イタリア系の鋭い目つきをした白髪交じりで口達者なエース・ヴィスコンティは、50年代の熟年映画スターと言っても通用するだろう。しかし、彼の心はいつだってトランプの虜だった。アルゼンチンの貧しい家に生まれた彼は、チャンスにあふれる国で豪勢な暮らしを勝ち取ろうと、賭け事に明け暮れ、詐欺を働き、女を口説いて、巧みな口先で人に取り入ろうとした。そんな日々を送るうちに、関わるべきでない連中から借りた借金が度を越してしまう。とうとう借金取りがやってきた時、エースはどこにも見当たらなかった。